テクノポートの井上です。製造業社が成長するために、自社の持つ技術を他の市場へ展開することは非常に大きなテーマだと言えます。その理由は、新しい技術を開発するよりも、既存技術を活かし新市場を開拓するほうがリスクが少なく取り組めるからです。ただ、そうは言ってもなかなかうまくいかない企業が多いのが現状です。今回は自社の保有する技術の転用や展開について、Webを活用することの有用性について紹介します。
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この記事の目次
技術転用・技術展開・用途開発とは
言葉の定義が曖昧なため、はじめに言葉の定義をします。
技術転用とは
技術転用とは、技術を保有する企業が、その技術を別の産業や分野に転用することを指します。これにより、新たな産業や製品の開発や改善が促進され、経済的な効果をもたらす可能性があります。
用途開発とは
技術の用途開発とは、技術を保有する企業が、その技術を活用して新たな用途を開発することを指します。新たな用途の開発により、社会にとって有益な製品やサービスが生まれることもあります。
技術展開とは
技術展開とは、技術を保有する企業が、その技術を他の企業や研究者に提供することを指します。これにより、技術を持っている側が収益を得ることができ、技術を受け入れる側は本来であれば開発しなければならなかった技術を簡単に入手することができます。技術展開により、技術の進化が促進され、経済的なメリットが生まれることが期待されます。
以上のように若干のニュアンスの違いはありますが、ほぼほぼの同義と捉えてよいと言えます。
そのため、これ以降は「技術転用」という言葉に統一し説明をします。
技術転用を成功させるためには?
技術転用を成功させるためには、技術シーズと市場ニーズをどう合致させるかが議論の中心になります。
しかし、実際はなかなかうまくいっていない企業がほとんどです。ではなぜうまくいかないのでしょうか?主に以下のような原因が考えられます。
- ターゲットの特定に時間がかかる
- 市場調査に時間とコストがかかる
- 特定したターゲットの有用性評価に時間がかかる
- ユーザーヒアリングや試作に時間とコストがかかる
この原因をわかりやすく言うと、「自社で用途を見つけることに注力している」と言えます。ユーザーの用途を想定し、提供価値、他社との差別化を行うことが用途開発で、そのための戦略策定に時間をかけすぎている状態です。
もちろん、差別化集中の戦略は勝つためには重要な戦略ですが、実行までに時間がかかり過ぎたり、集中したポイントが間違っていた場合に補正がしづらかったりといった難点があります。
どんなに優れた研究者や製品開発者でも、自社で考えるのには限界があるということを認識しましょう。オープンイノベーションなどを活用する時代の流れも、スピード、効率化だけでなく、自社では思いつかないイノベーションの期待もあり、トレンドになっているはずです。
それができる土壌が、簡単に膨大な情報が手に入るWebという手段により実現されているのだと考えます。
これからの時代は「自社以外に発見してもらう」ことが重要な時代と言えます。技術は知ってもらわなければ価値が生まれません。ユーザーを特定せず、機能軸を訴求することで、幅広くユーザーに認知させる戦略を同時進行で行う必要があります。
技術転用をWebで行うメリット・従来の用途開発手法との比較
自社以外に発見してもらう戦略としては、Web活用がおすすめです。従来の技術転用との比較は下記の通りです。
従来の技術転用手法の問題点
- 用途開発とマーケティングが切り分けられている
- ニーズの発掘に時間とコストがかかる
- 自社で見つけられる範囲は顕在化したニーズがほとんどで、想像を超える用途の発見にはつながりにくい
- 明確化させたターゲットが誤りだった場合の軌道修正が難しい
- 細かな需要をスピーディにとらえられない
- 顧客ニーズの多様化/複雑化
- 製品ライフサイクルの短命化
Webによる技術転用マーケティングのメリット
- ニーズの発掘と顧客獲得が同時進行ができる
- スモールスタートできる
- 自社で定義できない用途が呼び込める
- ターゲットを特定しないのでリスクは最小限
- 細かなニーズをスピーディにとらえられる
特に筆者が伝えたいことは、技術転用の用途定義と顧客開拓がWebであれば、同時進行できる点が良いということです。従来だと、用途定義を行いターゲットを明確化した後に、どう売り込むかが次のステップでした。その点、Webでマーケティングを行えば「このような用途で使えますか」という相談を呼び込み、実現可能であればそのまま商談につなげることができます。可能性を多く呼び込む中で、需要のある領域をカテゴリ化して差別化集中のコンテンツを新たに作ることもできます。
Webによる技術転用マーケティングのデメリット
主に考えられるデメリットは二つです。
1.技術流出の危険性は?
目的はMFTのF(機能性、提供価値)をユーザーに理解してもらうことです。どのように求める機能を実現しているかについては、そこまで細かに掲載する必要はありません。
2.競合が同じようにWebマーケティングを仕掛ける可能性は?
Webマーケティングでは先行者メリットが大きいと言えます。以下の3つの理由があります。
- SEO対策(グーグル検索での上位対策)において先行者のほうが有利
- その領域での実績やノウハウを先に蓄積できる
(実績があるところにユーザーは頼みたい) - 先行者の方が先にブランディングができる(○○といえば△△製作所)
お伝えしたいこと
今回は、技術転用をWebで行う有用性について紹介しました。特にお伝えしたいことは技術の用途はこちらから見つけるよりも、いかに相手から見つけてもらうかに注力するほうが効率がよいということです。昨今の技術は多岐の分野にわたり、分野をまたいでの複合技術まで求められる時代です。自社だけの技術用途定義では限界があるため、技術の利用可能性を幅広く認知させることでユーザー側に利用用途を見出してもらうことが重要です。
実際にWebを活用した事例や手法については、別記事にて紹介しています。参考にしていただけたら幸いです。
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