テクノポートの徳山です。弊社はBtoB製造業向けWebマーケティングを専門とし、1,000社以上の製造業者への支援実績があります。今回はこれまで培った経験とノウハウをもとに「製造業のためのWebマーケティング完全ガイド」を作成しましたので、ぜひご覧ください。
この記事の目次
製造業のWebマーケティングを成功させるポイント
はじめに、製造業がWebマーケティングを成功させるためのポイントについて解説します。
見込み顧客の購買フローを理解する
製造業がWebマーケティングを実施する際に重要となるのが、見込み顧客の購買フローを理解することです。購買フローとは、見込み顧客がWebを使い情報収集から購買に至るまでの一連のプロセスを可視化したものです。
BtoB製造業の場合、取り扱う商材が高額であったり、購買後に失敗した場合に被るリスクが高いことが多いため、見込み顧客は長い時間をかけて慎重に購買活動を行う傾向があります。
そのため、購買フローの段階によってユーザーの心理状況や情報収集を行う方法が異なります。Webマーケティングを実施する際は、ユーザーの購買フローをしっかりと理解したうえで、どの購買段階にいるユーザーを獲得したいのかを明確化し、どのような方法で、どのような情報を提供するかを考えることが大事です。
購買フロー例:省人化を図りたいと考えている生産技術部門の担当者が協働ロボットを導入する際の購買フロー
上図は、協働ロボットを購買するユーザーの購買フロー例です。見込み顧客が検索エンジンで情報収集を行う際に使用する検索キーワードは、購買段階が進むにつれて少しずつ変わっていきます。そのため、どの段階の見込み顧客を獲得したいのかによって、対策するキーワードが変わってきます。
短期的な成果を狙う場合は後期段階のユーザーを狙う
購買フローの後期にいるユーザーほど、購買までのリードタイムが短く、短期的な成果につながりやすいと考えられます。そのため、Webマーケティングで短期間で成果を上げたい場合には、後期段階のユーザーをターゲットとするとよいでしょう。
ただし購買フローの後期になるほど、ユーザーの母数が減少する傾向にあるため、獲得できるリード数に限りが出てきます。後期段階の見込み顧客だけでは十分なリード獲得につながらない場合は、前期段階のユーザーを獲得するための集客施策を取り入れる、といった施策転換が必要となります。
ニーズが顕在化したばかりの見込み顧客を獲得したいなら中盤のユーザーを狙う
購買フロー中盤のユーザーは、本格的な情報探索を始めたばかりのニーズが顕在化したばかりのユーザーが多いです。この段階のユーザーは、すぐには商談化できないことが多いですが、まだ競合他社に接触される前のユーザーが多いため、ここでうまく関係を築ければ競合他社より先行できることが利点です。
また、課題解決のための手段を模索している段階のユーザーが多いため、新製品・技術など認知度の低い製品・技術を広めるために効果的だったり、技術の用途開発につながりやすかったりする点も利点といえます。
潜在顧客を掘り起こしたい場合は前期段階のユーザーを狙う
購買フロー前期段階のユーザーは、ニーズが潜在的なため能動的に情報探索を行っていないため、日常的な情報収集を行う中で自社の製品や技術を知ってもらう必要があります。前期段階のユーザーは、Webマーケティングにおける費用対効果が取れないことが多いため、基本的には後期段階および中盤のユーザーを獲得した後に、獲得を検討するとよいでしょう。
ニーズが潜在的な段階でユーザーへ自社の技術・製品のことを知ってもらうことで、いざ本格的な購買段階に移ったタイミングで第一想起してもらえる可能性が出てきます。第一想起してもらえると、競合他社よりも先んじて購買候補先に入れるほか、比較検討時に選ばれやすくなるというメリットがあります。
製造業がWebマーケティングを実施する際に、購買フローのどの段階の見込み顧客をターゲットとするかは、自社が獲得したいと考える見込み顧客像によって変わります。どの段階の見込み顧客を獲得すれば求める成果を最大化させられるのかを、自社の営業体制や生産体制に合わせて考えていくことをおすすめします。
製造業におすすめのWebマーケティング施策7選+@
次に、製造業におすすめのWebマーケティング施策をご紹介します。ここでは、以前弊社で行った「Webマーケティングで 新規顧客獲得に貢献した施策を調査」の結果にもとづいておすすめする施策をご紹介していきます。
調査レポート「Webマーケティングで 新規顧客獲得に貢献した施策」の結果
2023年度にWebマーケティングを実施し「新規顧客獲得につながる成果を感じている」と回答した、BtoB製造業(従業員数100名以上)のマーケティング担当者・経営者・役員へ、新規顧客獲得に貢献したと感じる施策をアンケート調査した結果が以下です。こちらの回答結果をもとに各施策のメリット・デメリットを紹介します。
施策1 SEO対策
SEO対策とは、検索エンジンを使用し情報を探索するユーザーからのアクセスを獲得し、検索結果の上位に自社のWebサイトが表示されるように対策を行うことです。
SEO対策の特徴
SEO対策では、対策するキーワードの種類によってWebサイトへアクセスするユーザーが大きく変わります。短期的にリード獲得・受注を目指すのであれば、購買フローの後期段階の見込み顧客が使いそうなキーワードを選定します。
逆に、潜在顧客の獲得を目指すために中長期的なブランディングを確立し、顧客が本格的な購買活動を始めた際に第一想起してもらうことを目指すのであれば、前期段階のユーザーが使いそうなキーワードでの対策をおすすめします。
SEO対策のメリット
- 広告費をかけずにユーザーの目にとまる機会を増やすことができる
- 広告よりもコンバージョン率(問い合わせにつながる確率)が高い
- 資産性がある(一通り対策が済んだ後は長期間効果が継続する)
SEO対策のデメリット
- 検索上位表示させるためのSEOの知識やスキルが必要
- 専門性や独自性の高い記事を作成するために労力がかかる
- 効果が出始めるまでに時間がかかる(特にドメインパワーが弱い場合)
SEO対策を成功させるためには、自社に合ったキーワードを選定する必要があります。キーワードの選定は以下の3点を考慮のうえ行うとよいでしょう。
- 一定数の検索需要があること
- 競合するWebサイトが強すぎないこと
- 問い合わせにつながりやすいキーワードであること
キーワード選定のコツについては以下の記事をご覧ください。
施策2 Web広告
Web広告とは、検索エンジンの検索結果画面やWebサイトに表示される広告のことです。ここでは運用型広告と呼ばれる「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「リターゲティング広告」についてご紹介します。
リスティング広告
検索エンジンでキーワード検索した際に、検索結果の最上位に表示される広告のことです。SEO対策を行う代わりに、料金を支払って上位に掲載されるようにするため、SEO対策にかける時間を省きたい場合に活用できます。
広告表示させる検索キーワードを細かく設定できるため、購買フロー後期段階のユーザーを狙ったほうがROI(投資対効果)は高まると考えられます。
リスティング広告の詳細については、以下記事もご覧ください。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、検索キーワードに応じて不特定のサイトに表示される広告です。検索エンジン事業者が提供するアドネットワークを通して、自社のターゲットとなるユーザーに広告を配信します。
リターゲティング広告
ディスプレイ広告の付属機能として、Webサイトを訪問したユーザーに同じ内容の広告を表示させる機能があります。以前検索したものと同じ内容の広告を再びユーザーへ表示させる広告をリターゲティング広告と呼びます。同じ広告を何度も表示させることで、問い合わせの機会を作り続ける狙いがあります。
Web広告のメリット
- 購買フロー後期段階のユーザーが使うキーワードに合わせて広告を表示すれば、受注までのリードタイムの短いユーザーからのアクセスを獲得できる
- 即効性がある
Web広告のデメリット
- 広告料が発生する
- 広告を止めた途端に集客効果が失われる
以下のように、オンライン広告は「資産性」と「即効性」の観点からSEO対策とは真逆の性質があるため、併用することをおすすめします。SEO対策の効果が出るまでに時間がかかるという弱点を補うために、施策スタートから一定期間だけ使用するといった使い方でもよいでしょう。
SEOとWeb広告の違い
施策3 ウェビナー
ウェビナー(Webinar)とは、ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)をかけ合わせた言葉で、オンライン上で行うセミナーのことを指します。コロナ以降、取り組みを始めた製造業が多く、アンケート結果でも上位を獲得する施策となりました。
ウェビナーの特徴
ウェビナーはリアルセミナーと異なり、場所を選ばず参加できるため見込み顧客との接点を増やし、リード獲得のきっかけとなる役割を持ちます。しかし、ウェビナー自体がユーザーを集客するための施策ではないため、ウェビナーを開催していることを知ってもらうためにSEO対策や広告によるWebサイトへのアクセス増加といった施策とセットで行う必要があります。
ウェビナーのメリット
- これまでは直接的な接点を持ちづらかったユーザーにリーチできる
- 多くの新規リード獲得を期待できる(リアルセミナーの5~10倍にまでになることがある)
- リード獲得だけでなく、保有リードを育成する効果も期待できる
ウェビナーのデメリット
- 開催準備に手間がかかる
- ウェビナーへの参加者を集客するための手段を考える必要がある
ウェビナーの詳細については、以下記事もご覧ください。
施策4 SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、Twitter(現X)やFacebookといったソーシャルメディアを活用した情報発信によって、新規顧客の獲得を実現するためのマーケティング手法です。ここでは、アンケート結果の「SNSアカウントの運用」と「SNS広告」をまとめて「SNSマーケティング」として話を進めていきます。
SNSマーケティングの特徴
製造業において、SNSマーケティングの成功事例は少ないのが実情です。実際のところ、新規顧客獲得を目的としてSNSマーケティングを始めたとしても、BtoBのユーザーが購買活動を行う際にSNSを利用するシーンはまだ定着していません。ただし、ニーズが顕在化していない「潜在顧客」に対し、自社製品・技術を知ってもらう手段として活用できます。
製造業が活用できるソーシャルメディア
SNSは流行り廃りが激しく、新たなサービスが次々とリリースされます。その中で、2023年においてBtoB製造業が活用できる可能性があるSNSサービスとしては、以下のものが挙げられます。
- Twitter(現X)
SNSマーケティングのメリット
- 良いコンテンツは拡散され、費用をかけずに潜在層のユーザーへリーチできる
- 採用力強化やブランディングといった新規顧客獲得以外の効果が出る
- 資産性がある
SNSマーケティングのデメリット
- 情報発信の内容によっては炎上するリスクがある
- 運用にかかるリソースが非常に大きい
- 効果が出始めるまでに時間がかかる
SNSマーケティングの活用事例については以下の記事をご覧ください。
施策5 リストマーケティング
リストマーケティングとは、「リスト」と呼ばれる顧客情報に対して、コンタクトフォームから営業メールを送ることでリードを獲得する方法です。
リストマーケティングの特徴
一見するとリストを集めてメールを送るだけという労力の少ない施策のように思えますが、リストマーケティングを成功させるためには、それなりの知識と準備が必要となります。集客→育成→販売がリストマーケティングの一連の流れです。集めたリストは、放置せず定期的に情報を発信することと、見込み顧客の意欲が高まったタイミングでセールスを仕掛けるなど、一連の取り組みを行うことで成果を最大化できます。
リストマーケティングのメリット
- 一度に多くの見込み顧客にセールスできる
- 低コストで実施できる
- ターゲットとなる顧客の件数が限られている場合、手っ取り早くリーチできる
リストマーケティングのデメリット
- 売り込みが多すぎると敬遠される(悪い評判が立つ恐れがある)
リストマーケティングの進め方については以下の記事をご覧ください。
施策6 動画マーケティング
動画マーケティングとは、主にYouTubeを活用した情報発信を行うことで、新規顧客の獲得を実現するためのマーケティング手法です。
動画マーケティングの特徴
少しずつではありますが、最近ではBtoBのユーザーが購買活動を行う際に動画から探すシーンが定着しつつあるように感じます。実際、弊社が支援するクライアントの中には、YouTube動画をきっかけにWebサイトへアクセスしたユーザーが問い合わせに至ったケースも増えてきました。
YouTube動画の視聴者を増やすためには、ユーザーが求めている情報をわかりやすく発信することと、見ていて飽きないエンタメ性も必要となってきます。多くの製造業が自社の工場案内や製品PR動画をアップしていますが、自社が一方的に伝えたい情報とユーザーが求めている情報とで乖離があるため、視聴者の増加にはつながりにくいです。
ユーザーが求める情報を適度なエンタメ性を加え、うまく情報発信している事例としてチップワンストップチャンネルがあります。ご参照ください。
動画マーケティングのメリット
- 動画がバズった際の爆発力(リーチできるユーザー数)がある
- 質の高い動画をアップできれば短期間で効果が出る
- 資産性がある
動画マーケティングのデメリット
- 成功させるためのハードルが非常に高い
- 動画制作費に大きなコストがかかる
動画(YouTube)マーケティングの事例については以下の記事をご覧ください。
施策7 ポータルサイトへの掲載
最後にご紹介する施策がポータルサイトへの掲載です。一口にポータルサイトといっても、製品情報を掲載するカタログ的なサイトから、会社(工場)情報を掲載するものまでさまざまです。ポータルサイトによって、送客方法や利用するユーザーの属性が大きく異なるため、掲載を検討する際は自社の技術・製品に合ったポータルサイトを選びましょう。
製造業系ポータルサイトの例
- ミスミ:https://jp.misumi-ec.com/
- イプロス:https://www.ipros.jp/
- Monotaro:https://www.monotaro.com/
- NCネットワーク:https://www.nc-net.or.jp/
- アペルザ:https://www.aperza.co.jp/
- Metoree:https://metoree.com/
ポータルサイト掲載のメリット
- 登録ユーザーへリーチできるので即効性がある
- 手間がかからない
ポータルサイト掲載のデメリット
- 掲載料がかかる
- 比較検討が前提となっているため価格競争になりやすい
集客施策を行った後のアクセス解析・改善が重要
これまでにご紹介したWebマーケティング施策は集客面が中心でしたが、集客した見込み顧客をさらに増やしたり、問い合わせ率を高めたりするためにWebサイトのアクセス解析・改善も有効ですので、必ず集客とセットで行っていきましょう。
Webサイトの制作やリニューアルすることに投資する会社は多いですが、公開後の運営に力を入れる会社は少ないのが実情です。下図はWebサイト公開後に毎月定期的に更新を行ったWebサイトとそうでない場合とを比較したものです。その差は一目瞭然で、公開後の更新活動がいかに重要であるかがおわかりいただけるかと思います。
効果測定の方法と改善手法
Webサイトをやみくもに更新しても成果につながらないことが多いです。よく見受けられるのが、新着情報を更新しておけばOKと考えている企業や、本業とは無関係のネタを題材にしたブログを更新している企業です。新規顧客獲得という観点からいえば、どちらも成果に直結する更新活動とはいえません。
適切な更新活動(Webコンテンツの追加・修正)を実施するためには、効果測定を行う必要があります。製造業が利用すべき効果測定ツールとそのツールで見るべき指標についてご紹介します。
Google Analytics4(GA4)
GA4は、Webサイトのアクセス状況を把握するために有効なツールです。アナリティクスでは、ユーザーの属性や訪問ページ、広告の効果などさまざまな指標を分析できます。
導入の方法や、製造業のWebサイトが最低限見ておくべき項目に関しては以下の記事をご覧ください。
Google Search Console
Google Search Consoleは、WebサイトがGoogleにインデックス(GoogleのデータベースにWebページが登録)されているかを調べたり、Googleでどのようなキーワードで検索されているのかを、検索順位や検索でのクリック数、クリック率、表示回数といった検索パフォーマンスとともにチェックできるツールです。
検索パフォーマンスのデータをチェックすることで、対策キーワードのSEO対策の効果測定を行ったり、想定していなかったキーワードを発見し、新たな対策キーワードとして採用したりできます。
Google Search Consoleの活用方法については以下の記事をご覧ください。
ヒートマップ
ヒートマップとは、多次元データの関係性を色で表現し、わかりやすくするものです。Webにおけるヒートマップはページのどこが見られているか、どこをクリックしたかをビジュアルで表現しています。そうすることで、サイトの問題点や、ユーザの隠れたニーズを視覚的に解析できるようになります。
以下の記事では、一般的に使うヒートマップ分析の紹介や、指標の見方や改善ポイントの解説、おすすめの分析ツールについてもご紹介していますのでご覧ください。
Webマーケティングの成功事例10選
ここからは弊社が支援したお客様の成功事例をご紹介します。Webマーケティング実施前にどのような課題を持っていて、施策を行うことで具体的にどのような成果を得られたのかを中心に解説します。
事例1 NISSHA株式会社(フィルムデバイス)
事業内容 | 産業資材・ディバイス・メディカルテクノロジー・情報コミュニケーション事業 |
サイトURL | https://connect.nissha.com/ |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策、リスティング広告、コンテンツマーケティング |
抱えていた課題
同社の4つある事業部のうちフィルムデバイスを製造しているディバイス事業部において、新規市場開拓が進んでいないことに対し大きな課題感を抱いていました。特に、技術を既に展開している領域ではなく、新たな分野において活用できる用途がないかを探していました。
実施したWebマーケティング施策
コーポレートサイトとは別に「技術を伝えるための特設サイト」を作ることで、伝えたい技術の内容をさまざまな分野の見込み顧客へ情報を広げていきました。フィルムデバイスに関する基礎知識や活用事例をコラム形式でどんどんアップしていくことで、より幅広いユーザからのアクセスを獲得しています。集客施策の中心はSEO対策ですが、短期間の成果を求めてリスティング広告も併用しました。
Webマーケティング施策の成果
ターゲットとしていたメーカーの技術者だけでなく、大学の研究者など幅広い分野からさまざまな問い合わせを獲得することに成功しました。お客様からさまざまな反応を得られたことで、お客様の顔を想像しながらスピーディーにWebサイトの更新ができるようになり、早期に成果を挙げることができました。フィルムデバイス分野で堅調に成果を挙げられたことから、今ではフィルムデバイス以外の分野のWebマーケティングも推進しています。Web活用を推進する流れが社内でも確実に広がり、全社的な導入へと進んでいます。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:技術者をターゲットとしたWebマーケティングにより多くの新規顧客開拓に成功
事例2 荒川技研株式会社(プラスチック加工)
事業内容 | プラスチック加工 |
サイトURL | https://www.a-giken.co.jp/ |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策、コンテンツマーケティング、アクセス分析・改善 |
抱えていた課題
以前は既存取引のあった自動車やアミューズメント業界のメーカーからの売上が大きかったため、危機感はなかった同社。自動車業界はEV化による大きな変化が起きることが予測され、アミューズメントも衰退の兆しがあるなど、将来の不確実性が高まっていました。新規顧客開拓営業を行ううえでWebマーケティングの重要性はわかっていたものの、どうすればいいかわからない状態でした。
実施したWebマーケティング施策
同社は、切削・真空注型・光造形と幅広くプラスチック加工ができる会社でしたが、対応領域の広さから得意領域が見えづらくなっていました。そのため、樹脂試作にターゲットを絞り「プラスチック試作の専門工場」というキャッチフレーズで訴求することを決めました。Webサイトの公開後にはアクセスの分析、問い合わせ状況の精査などを行うことで、伸ばすべき分野は何かを考えていきました。ターゲットとすべき分野に合わせて設備投資を行いながら、より深いニーズに対応できる体制へと変化させていきました。
さらにコンテンツマーケティングを実施し、樹脂に関する基礎知識の提供や材料の特性などを解説することで、当分野での認知度向上(ブランディング)を図り、潜在顧客に対し「プラスチック加工といえば荒川技研」と第一想起されるWebサイトを目指しています。
Webマーケティング施策の成果
問い合わせ数が大幅アップするとともに、異業種からの引き合いを多く獲得できるようになりました。結果として、取引社数が数百社と大幅に増加しました。多い時期には、毎日のように問い合わせがきています。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:数百社の新規取引先開拓に成功。得意領域を見出し訴求力アップ
事例3 イースタン電子工業株式会社(三次元測定機)
事業内容 | 三次元測定機「マイクロ・ビュー」の販売 |
サイトURL | https://www.microvu.jp |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策、リスティング広告 |
抱えていた課題
同社が総代理店を務めている三次元測定機「マイクロ・ビュー」は、世界的なシェアこそ高いものの、日本での知名度が低いのが大きな課題でした。展示会を中心に販売活動を行っていましたが、日本市場は国内大手メーカーがシェアを占拠しており、後発参入は容易ではありませんでした。
実施したWebマーケティング施策
マイクロ・ビューに対する機能的価値と情緒的価値を洗い出し、それらの情報を一言でまとめ「世界トップシェアの実力と安心感」というブランドコピーを考案しました。また、Webサイトデザインは、国内製品に負けない圧倒的な存在感を創出することで差別化を図り、当製品のブランド価値向上を狙いました。集客施策としてはSEO難易度の高いキーワード「三次元測定機」に関してはリスティング広告を中心に、「大型三次元測定機」「小型三次元測定機」といったキーワードはSEO対策とリスティング広告を併用することで検索時の画面占有率を高め、ユーザーからアクセスしてもらいやすい状況を作り上げました。
Webマーケティング施策の成果
デザインを刷新したことにより、アメリカのマイクロ・ビュー社や世界各国の代理店から「素晴らしいデザインだ」と賛美の声が上がったとともに、情報が整理され見やすいといったUI面の評価も上がりました。リニューアル後は継続的なSEO対策を実施し、Webコンテンツを拡充していくことで問い合わせ数が大きく増加しました。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例4 株式会社長野サンコー(プレス金型・プレス加工)
事業内容 | プレス金型の設計・製作およびプレス加工 |
サイトURL | https://www.naganosankoh.jp/ |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策 |
抱えていた課題
以前よりWebマーケティングを実施していた同社。しかし、目指していたのがインターネット上で取引される案件数が絶対的に少なく、受注難度が高いとされる量産案件の受注だったため、なかなか見合う案件の引き合いを獲得できずにいました。
実施したWebマーケティング施策
難度の高い量産案件を獲得するためには、相当数のアクセスユーザをWebサイトへ呼び込む必要があると考え、「絞り加工」や「プレス金型」といった検索需要が大きく、SEO難度の高いキーワードによるSEO対策が必須と考えました。難度の高いキーワードによるSEO対策を成功させるために、自社の技術紹介だけではなく、その技術に関する解説コンテンツを弊社にて執筆し掲載すると共に、大量の加工事例を掲載することで、コンテンツリッチなWebサイトへとリニューアルしました。
Webマーケティング施策の成果
対策キーワードでの検索上位表示を実現し、多くの引き合い獲得に成功しました。その結果、Webサイトのリニューアルから1年経たずして、超大型の量産案件の受注を達成することができました。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:Webマーケティングでは難易度の高い量産案件の受注に成功
事例5 サイエナジー株式会社(軟X線検査装置)
事業内容 | 軟X線検査装置およびシステムの開発・製造 |
サイトURL | https://scienergy.jp/ |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策、リスティング広告、マーケティングオートメーション導入、アクセス分析・改善 |
抱えていた課題
同社はこれまで新規顧客獲得を展示会での営業活動に依存していました。そのため、展示会開催直後は受注数が急増しましたが、展示会が開催されない期間は受注数が激減してしまい、受注の波が激しいことを課題として抱えていました。近いうちに製造の内製化を図る計画があったため、なるべく受注を平準化したいと考えていました。
実施したWebマーケティング施策
主要対策キーワードである「X線検査装置」を中心にSEO対策とリスティング広告を実施し、多くのリード獲得を実現しました。またアクセス分析を行ったところ、問い合わせに到達したユーザーの多くが「噛み込み」「液漏れ」などといった用途を紹介するページからの流入が多いことが判明しました。そのため、用途系のページとして「ダーツ検査」や「シール検査」といったページも新設することで、より多くのリード獲得に成功しました。
Webマーケティング施策の成果
月によって多少の波はありますが、多いときの問い合わせ数は以前の10倍くらいになりました。また、MAを導入することで、展示会後のリードの反応がわかるようになり、ホットリードに絞り込んで営業アプローチできるようになったので、営業効率を大きく上げることができるようになりました。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:コロナ禍でもデジタルマーケティングが展示会に代替する営業手段として活躍
事例6 株式会社杉山チエン製作所(工業用チェーン)
事業内容 | 工業用チェーンの製造・販売、特注部品の受注生産 |
サイトURL | https://www.hkkchain.jp/ |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策、アクセス分析・改善 |
抱えていた課題
以前のWebサイトは制作方法が古く、定期的な更新をするのに労力を要する状態でした。また会社紹介程度のコンテンツ量だったため、新規ユーザーのアクセス数が少ない状況でした。造り手側の目線ではなく利用者が欲しい情報を掲載し、Webからの問い合わせ数を増やすことを目指しリニューアルを実施しました。
実施したWebマーケティング施策
スプロケットや各種チェーン名を対策キーワードに選定しSEO対策を実施しました。多くのキーワードで検索上位を獲得できています。またアクセス解析の結果、問い合わせフォームで離脱してしまうユーザーが多くいることを発見し、当該製品に知識のないユーザーが問い合わせ時に何を入力すればよいかわからないのではないか、という仮説を立てました。そこで、問い合わせしやすいようあえて入力項目を増やしたところ、問い合わせ率の大きな改善につながりました。
Webマーケティング施策の成果
Webサイトで製品や技術についてわかりやすく伝えることができているために、受注確度の高い問い合わせ獲得につながっています。お問い合わせ件数自体は週に1~2件程度ですが、見積もりからの受注率が高く、見積もりを提示すると7〜8割程度の確率で受注に至っています。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:問合せからの受注率が7〜8割に!低コストで高パフォーマンスなWebサイト制作を実現
事例7 株式会社アローズ(レアメタル加工)
事業内容 | レアメタルの調達・加工商社 |
サイトURL | https://www.arrozcorp.com/ |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策、コンテンツマーケティング |
抱えていた課題
非常にニッチな市場で専門性が求められる仕事にもかかわらず、営業マンの離職率が比較的高いことが大きな課題となっていました。そのため、属人的な営業活動から効率的なWebマーケティングによる営業体制に変革を図りたいと考えていました。
実施したWebマーケティング施策
同社が強みとする「レアメタルの調達力」と「加工商社のネットワーク」を最大限活かせそうな市場として、レアメタル加工を依頼したいと考えているユーザーにターゲットを絞りました。レアメタルには数多くの種類があるため「レアメタル名+加工」をテーマとしたページを量産することにより、数多くの検索キーワードでHITするようになりました。
Webマーケティング施策の成果
Webマーケティングを実施して数ヶ月後には、Webサイト経由の問い合わせがほぼ毎日入ってくるようになりました。中でも、大手企業からお問い合わせをいただく機会が増えていて、以前はどうやっても関わることができなかった大手自動車メーカーさんから問い合わせを獲得できていることは、同社にとって大きな価値となっています。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:Web集客で営業力を大幅にアップ!大手メーカーとの繋がりを作ることにも成功!
事例8 株式会社山善(省人化機器・協働ロボット)
事業内容 | 生産財関連および消費財関連の販売 |
サイトURL | https://tfs.yamazen.co.jp/ |
施策内容 | SEO対策、Webコンサルティング、Webコンテンツの制作、リスティング広告運用代行 |
抱えていた課題
売上目標を達成するうえで、展示会施策だけでは不十分だと感じ、Webマーケティング施策を実施することを決めました。そのために何社か支援会社に手伝ってもらっていましたが、製造業という業界の専門性の高さがネックとなり、成果がなかなか挙がりませんでした。
実施したWebマーケティング施策
現状分析を行った結果、圧倒的に検索エンジンからの自然流入数が不足している状態だったため、SEO対策に注力しました。取り扱い製品が多様だったため、製品ごとに購買フローを描き、フロー前半と中盤のユーザーを製品ページと技術コラムページで獲得するためのWebコンテンツを作成しました。
Webマーケティング施策の成果
Webマーケティングを実施して数ヶ月後には順調に獲得するリード数が増え始めました。年間目標としてWebマーケティング施策により250件のリード獲得をKPIとしていますが、十分に達成する見込みとなっています。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:SEOを中心としたWebマーケティングで年間新規受注5億円に挑む
事例9 株式会社メルテック(エッチング加工)
事業内容 | エッチング加工、特注エンコーダ用部品の設計・製造 |
サイトURL | https://etching-meltec.com/ |
施策内容 | 海外Webサイト制作、海外サイト改善、海外リスティング広告 |
抱えていた課題
英語サイトを所有していましたが、そのサイトを経由したお問い合わせはほぼない状態でした。海外の顧客は日系企業がほとんどで、海外企業と直接的な取引がないため、アメリカやヨーロッパをはじめとする海外企業から自社製品に対する需要を見定めることもできない状態でした。
実施したWebマーケティング施策
海外で製品がどのような英語名で呼ばれているのかの調査したうえで、潜在顧客の需要調査などをきめ細やかに行いました。集客施策として「リスティング広告の運用」と継続的に案件を獲得するための「SEO対策」を英語にて実施しました。
Webマーケティング施策の成果
リニューアル前はほとんどお問い合わせがない状況でしたが、リニューアル後はさまざまな国の企業から問い合わせをコンスタントに獲得できるようになりました。海外の顧客からの需要を調査するという目的も、ヨーロッパ(フランス、イギリス)、アメリカ、カナダの企業からの問い合わせが来ているため、ある程度達成ができたと考えています。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
事例:英語サイトで「海外の新規顧客開拓」と「製品の需要調査」を実現
事例10 アドレック株式会社(デジタルトルクレンチ)
事業内容 | デジタルトルクレンチメーカー |
サイトURL | https://www.adrec-jp.com/ |
施策内容 | Webサイト制作、SEO対策、Webコンサルティング |
抱えていた課題
新規顧客開拓は展示会出展に頼っている状況でした。そんな中、コロナ禍で展示会の中止が相次ぎ、リアルな場での出展もできないという事態に陥りました。新規顧客獲得を目指し、Webサイトの拡充とインサイドセールスを実施しようと考えましたが、リソースが足りない状況でした。
実施したWebマーケティング施策
Web戦略の骨格と方向性のアドバイスを行いました。当初は「トレーサビリティ」つまり、「ねじの締付結果の履歴保存」を前面に押し出すマーケティング活動を展開していましたが、分析の結果、「ねじの締め忘れ防止」を訴求した方が効果が高いことが判明しました。そこで、Webサイトの構成もトレーサビリティよりは締め忘れ防止を押し出す構成にシフトしました。
Webマーケティング施策の成果
狙ったキーワードで検索エンジン上位に表示されるSEO対策を踏まえたホームページへと刷新され、おかげさまで、コロナ禍でもそれなりの売り上げをキープすることができました。
事例の詳細は以下からご覧いただけます。
製造業がWebマーケティングにより得られる成果
製造業がWebマーケティングの成功により得ることのできる具体的な成果は以下のとおりです。
効率的に新規顧客の獲得ができる
Webマーケティングは、アウトバウンド営業(テレアポや飛び込み)のような売り込みとは違い、見込み顧客のほうから「技術・製品を買いたい」と問い合わせをしてきてくれます。
そのため、受注のための営業労力が低く、効率的な新規顧客の獲得が可能です。営業やマーケティングに投じる人的リソースが限られる製造業者にとって、最適な新規顧客獲得手法と言えます。
技術・製品の新たな用途開発につながる
一般的に同じ技術・製品を同じ市場に提供し続けると、製品のコモディティ化や競合企業の増加などにより、相対的に技術の価値が下がってしまいます。自社の技術・製品を高く買ってもらうためには、新たな市場を開拓していく必要があります。
Webマーケティングの活用により、自社の技術・製品を幅広いユーザーに知ってもらうことで、新たな利用用途を見出してもらい、新たな技術開発につながったり、新事業創出のきっかけとなったりすることがあります。
ブランディングにつながる
Webマーケティングを通じた積極的な情報発信を行うことで、今すぐではないが、将来的に顧客となる可能性のある潜在ユーザーへリーチできるようになります。
潜在ユーザーには、何らかのきっかけにより購買活動に移る際に自社を第一想起してもらえる可能性があるため、競合他社に先んじて接触できることが期待できます。見込み顧客と早い段階で接触することで、優位な状況で商談を進められるのです。
製造業のWebマーケティングを成功させるのが難しい理由
Webマーケティングを実施する際、Webサイトの制作、集客、運営のすべてを内製で進める場合と、それらの一部もしくは全部を外注で進める場合の2種類があると思います。製造業でWebマーケティングの成功事例が少ないのは、両者どちらの方法でも成功させるのが難しい業界ならではの要因が潜んでいるためです。
内製で成功するのが難しい理由
Webマーケティングを内製している製造業がうまくいかない理由としては、以下のようなことが挙げられます。
顧客ターゲットの解像度が上げられていない
長年メーカーからの受託業務を行っているサプライヤー企業では、自社がターゲットとすべき顧客について考える機会が少なく、自社がターゲットとすべき顧客のイメージが明確になっていないケースが多いです。
また、取引を行うメーカーの業界・分野が多岐に渡ることもあり、どこにターゲットを絞ればよいかわからないケースや、そもそも自社で加工している部品が最終的にどのような製品に使われるのかを知らされないケースがあり、ターゲットの解像度を上げることが難しい要因になっています。
Webサイトのアクセスを増加させるための対策が不十分
自社で制作したWebサイトの多くが、アクセスを増やすための対策までを考えておらず、「とりあえず作ってみた」というものも少なくありません。たとえ自社の強みや実績が十分に掲載されているようなWebサイトであったとしても、誰にも見てもらえなければ意味はありません。
Webサイトの適切な更新活動が行えていない
Webサイト立ち上げ直後に一時的に成果が出たとしても、公開後の更新を怠っていると、徐々に成果は減少傾向となります。これは、競合企業のWebサイトが適宜更新されていくため、少しずつユーザーが競合サイトに流れていくためです。Webサイトは立ち上げが目的ではなく、むしろスタートです。定期的にアクセス分析を行い、適切な更新活動を行う必要があります
外注で成功するのが難しい理由
次にWebマーケティングの外注を成功させるのが難しい理由です。
業界の商習慣を理解できない
Webマーケティング支援業者の多くが、BtoCのビジネスを支援しており、BtoB製造業支援の実績を豊富に持っていることはまれです。BtoCとBtoBでは、購買に至るまでの動機や購買フローが大きく異なるため、それを理解しないままWebマーケティング戦略を考えても失敗に終わってしまうことが多いのです。
適切なキーワードを選定するのが難しい
BtoB製造業のWebマーケティング施策において主要な施策となるのは、SEO対策やリスティング広告といった検索エンジンを使うユーザーの集客です。それを成功させるために最も重要となるのが「キーワードの選定」です。適切なキーワードを選定するためには、専門用語を理解するとともに検索ユーザーの検索需要を把握しなければなりませんが、これは経験値がないと難しい作業となります。
Webコンテンツを制作するのが難しい
仮に適切なキーワード選定できたとしても、そのキーワードで検索上位に表示させ続けるには、良質なWebコンテンツを作り続ける必要があります。専門性の高いWebコンテンツを作成するには、専門知識を有したライターやイラストレーターが必要となりますが、どちらも希少な存在です。
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